動物愛護
「ワンヘルス」とは
『One World-One Health』とは、動物と人及びそれを取り巻く環境(生態系)は、相互につながっていると包括的に捉え、獣医療をはじめ関係する学術分野が「ひとつの健康」の概念を共有して課題解決に当たるべきとの考え。2004年に野生動物保全協会(WSC)が提唱した。また、国際獣疫事務局(OIE)は、2009年に「より安全な世界のための獣医学教育の新展開」に関する勧告において、動物の健康、人の健康は一つであり生態系の健全性の確保につながるとする新たな理念として『One World-One Health』を実行すべきである旨を提唱している。
―動物と人の健康は一つ。そして、それは地球の願い。-
- 地球的課題としての食料・環境問題に対処する上で、生態系の保全とともに、感染症の防御、食料の安定供給などの課題解決に向け、「人と動物の健康は一つと捉え、これが地球環境の保全に、また安全・安心な社会の実現につながる」との考え方『One World-One Health』が提唱され、「人と動物が共存して生きる社会」を目指すことが求められている。
- 一方、動物が果たす役割は、食料供給源としてのほか、イヌやネコなどの家庭動物が「家族の一員・生活の伴侶」として国民生活に浸透するとともに、動物が人の医療・介護・福祉や学校教育分野に進出し、また、生物多様性保全における野生動物の存在など、その担うべき社会的役割は重みを増すとともに、一層多様化してきている。
- 他方、国民生活の安全・安心や社会・経済の発展を期する上で、食の安全性の確保や口蹄疫、トリインフルエンザ、狂犬病等に代表される新興、再興感染症に対する備えとともに、家庭動物の飼育が国民生活に普及する中で動物の福祉に配慮した適正飼育の推進が、更には、地球環境問題としての生物多様性の保全や野生鳥獣被害対策を推進する上での野生動物保護管理に対する関心が高まってきている。
- 我々、獣医師は「日本獣医師会・獣医師倫理綱領 獣医師の近いー95年宣言」が規定する専門職職業倫理の理念の下で、動物に関する保険衛生の向上と獣医学の振興・普及を図ることなどを通じ、食の安全性の確保、感染症の防御、動物疾病の診断・治療、更には、野生動物保護管理や動物福祉の増進に寄与するとの責務を担っている。
- 獣医師会は、高度専門職業人としての獣医師が組織する公益団体として、獣医師及び獣医療に対する社会的要請を踏まえ、国民生活の安全保障、動物関連産業界の発展による社会経済の安定、更には、地球環境の保全に寄与することを目的に「動物と人の健康は一つ。そして、それは地球の願い」を活動の理念として、国民及び地域社会の理解と信頼の下で、獣医師会活動を推進する。
フェスティバル
大阪府獣医師会では、動物の愛護、生命尊重、友愛および平和の情操を広く人々に普及させるという「動物の愛護及び管理に関する法律」の精神に則り、命の大切さを学ぶと同時に、人と動物の健康と福祉の向上を図り、また、伴侶動物のみならず野性動物等においてもその習性について正しく理解し、同じ地球上の仲間として人と動物が共に暮らす楽しさと、人と動物のけじめある関わり方について普及啓発することで、高度な動物愛護精神の育成を図ることを目的とし、動物愛護週間に合わせて毎年、海遊館で長寿動物の表彰と府民の皆様にも役立つ内容の教育講演を開催しています。
また、大阪城公園では、警察犬、盲導犬、麻薬探知犬のデモンストレーションやチアリーディング、吹奏楽部の演奏に加え、各支部の獣医師や企業団体による模擬店などを行い、毎年多くの府民の皆様とイヌたちに参加していただいております。
身体障害者補助犬支援活動
大阪府獣医師会の開業部会では、盲導犬の育成を支援するため、社会福祉法人日本ライトハウスに寄付を行っております。
社会福祉法人日本ライトハウスからは当会の支援活動に対して、毎年、感謝状をいただいております。
野生鳥獣保護
生きものの世界には、“食物連鎖”というつながりが存在します。
植物や花密を食べるバッタやチョウといった草食昆虫はトンボやカマキリなどの肉食昆虫に食べられます。
そして、肉食昆虫はヘビやカエルなどの両生・爬虫類に食べられ、さらにそれらを食べる生きものとしてモズやイタチなどの鳥獣がいます。
このような“食物連鎖(食べる食べられるの関係)”の世界の頂点に位置するのが、ワシ・タカといった猛禽類やキツネなどの肉食獣です。
このような自然界のなかで、ケガや病気で衰弱している野生鳥獣を発見したとき、私たちはどのように対処すればよいでしょうか。
このまま死んでしまっても他の鳥獣の生きる糧となり得る自然界の掟にしたがって、放置しておくべきなのかもしれません。
しかし、中には交通事故や高層ビル・鉄塔への衝突といった人間の社会活動の結果によって傷つく野生鳥獣もいます。目の前に苦しんでいる生きものがいれば“いたわりの気持ち”を持って助けたくなるのは当然です。
また、このように傷ついた野生鳥獣を保護する行為によって、私たちは『野生鳥獣が安心して棲める環境を保全・復元しなければ』と思うようになるかもしれません。
多くの人々がこのような考えを持って行動することで、野生鳥獣との共存が実現するのではないでしょうか。
大阪府獣医師会では、一部の会員が「野生鳥獣救護ドクター」として傷ついた野生鳥獣を治療する活動に大阪府環境農林水産部動物愛護畜産課とともに取り組んでいます。
衰弱したフクロウ
元気になったハヤブサを放鳥